優先席を考える
- gokankobo
- 2017年3月4日
- 読了時間: 4分
電車やバスの優先席(プライオリティシート)はどれだけ役立っているのだろうか。
かつて横浜市営地下鉄は「全席優先席」だった。
当時、なるほどそういう考え方もあるよなあと思い、応援していた。
しかし2012年、全席優先席自体は残し「最優先席」を設けると発表した。
そして今は「ゆずりあいシート」になった。
ちょっとずつ後退している。
素直に「優先席」にしないところが意地ってやつか。
この経緯には、横浜市民の意識調査が影響している。
「本当に席が必要とする人が、席を譲ってもらえていない」という実態がわかった。
さらに「全席優先席」の継続に対し、反対が賛成を上回ってしまった。
心理的に人は何か線引きされていないと行動しにくい性質がある。
ある程度の決まりとか基準みたいなものが重要で、
それが背中を押してくれないと行動にうつせない。
譲る側にも譲られる側にも「気を使わず、安心できる」仕組みが必須。
残念ながら、日本人の気質を考えれば、優先席は必要なのだ。
また、近年ではスマホの普及も要因のひとつ。
皆、画面に集中することが増え、周りが全く見えていない。
目の前におばあさんが立っていても気づかないのである。
ヘッドホンとかしていたら、完全に自分の部屋状態。
横浜市の「全席優先席」はまだスマホのない時代だった。
今よりマシな時代ですら、難しい取り組みだったのだ。
ところで優先席自体に問題はないのだろうか。
例えば、設置場所は最適なんだろうか。
普通、車両の連結部付近の両側4席分が優先席。(対面は車椅子などのためのフリースペース)
20mの4扉車で1カ所でしかない。
1両おきの場合もある。
これが外から見ると、どこに優先席があるのかわからない。
利用したい人は、どこから乗っていいのかわからない。
窓に優先席マークが貼ってあるが、目立たない。
ホームの足下に「優先席」って描いてあるけど、人が並んでいたら全く見えない。

そもそもお年寄りなどの利用者は、できるだけ移動したくないものだ。
優先席奥のシートが空いているのに、立っているお年寄りをよく見かける。
理由は簡単。
奥まで行くのが大変なのだ。
膝や腰が弱っているお年寄りが、動いている電車の中で人を掻き分け移動できるはずがない。
つかまるところといえばつり革のみ。手は届かない。
仮に席にたどり着いたとしても、今度は降りる時に大変だ。
それが分かっているから立っていた方がマシと思っているのである。
例えば全ての扉の脇、端っこの席を全て優先席にしたらどうだろう?
座席の多くは7人掛けだが、その両端を全て優先席にしてしまう。
そうすればお年寄りだけでなく、ベビーカーママや松葉杖のけが人も乗ったらすぐに座れる。
気分が悪くなってもすぐに降りられる。
元気な人は「端には座らない」という簡単なルールだけで解決できる。
多くの人は「端好き」だから、異論は多いだろうが。。。
また、ドアの両端にはよく人が立っているが、これがお年寄りの乗降を妨げている。
ここに人がいたら、つかまるところがなくなってしまう。
混雑時以外、ここにはできるだけ立たない(または必要な場合は譲る)ということにすればいい。
これもブーイングがおこりそうだが、ちゃんと意味を理解すれば当然のこと。
多くの人は、経験上そういうことを知らないだけだから。
バリアフリー機能の中には、つくっとけばOKっていうのも少なくない。
手動の車椅子ではとても登れない急斜面のスロープ、
電車も停まらないぐらいホームの隅にあるエレベーター、
登りはあるけど下りのないエスカレーター、
途中で無くなってしまう階段の手摺り、
車椅子が引っかかってしまうぐらいゴツい点字ブロック、、、
あげたらキリがない。
優先席も、実際に使いやすい、ゆずりやすいものを研究してもらいたい。
車両の長さは20メートル。
扉は4箇所。
ドア間の座席は7人掛け。
車端は4人掛け。
優先席は車端1箇所。
対面はフリースペース。
これが今の電車の常識だ。
もう半世紀ぐらい変わっていない。新型山手線もほぼこの路線。
日比谷線もこうなるらしい。
この常識を打ち破る、斬新なデザインの通勤電車はいつできるんだろう。










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