
各国料理と音風景
エスニック料理が好きだ。 特にアジアには目がない。 それにしても東京はすごいところで、 なんでも食べることができる。 タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、インド、 ネパール、台湾、この辺りはポピュラーなので 当たり前のように見かける。 更にラオス、カンボジア、スリランカ、モロッコあたりも しっかりカバー、高田馬場にいけばミャンマー、 六本木ではウズベキスタンなんかもある。 こんなに世界各国の味が楽しめるところは東京とニューヨークぐらい。 ありがたいことだ。 でもやっぱり各国料理はその国でいただきたい。 まず風景が違う。 人が違う。 言葉が違う。 そして宗教、温度、湿度、匂い、全てが違う。 自分としては自然と耳に入る「音」が重要。 それは波の音だったり、街から聞こえる雑踏の音だったり、様々だ。 そんな環境でいただく味は格別である。五感はしっかりバランスがとれていないといけない。 日本独特のガヤが聞こえてきて、サラリーマンが会社や仕事のグチをいっているのが 聞こえてくると、せっかくの異国の味がだいなしになる。 例えばインドネシアのちょっと甘った

増えつづける柱サイネージ
一般的にはデジタルサイネージといっている動く看板。 液晶やプラズマディスプレイが街のいたるところで見られるようになって久しい。 電機メーカーの生残り戦略もあって、すさまじい勢いで増え続けている。 見にくかった電光掲示板などが、カラフルで大きくなったのはいいことだと思う。 目的がはっきりしていて効果があれば文句はない。 日本のメーカーの技術を誇りに思ったりもする。 しかし近頃はどうだろう。なくてもいいところに、どんどん増えているような気がする。 空間にちょっとでも隙間があればディスプレイを埋め込む。 特にひどいのが駅。 壁だけならまだしも、柱という柱にディスプレイが取り付けられている。 新宿、渋谷、恵比寿、どんどん広がり、今では都心のJRの駅はサイネージだらけ。 JRだけかと思っていたら、最近は私鉄も右に倣えだ。 この「柱サイネージ」のおかげで駅の個性もなくなってしまった。 流される映像は一斉に同じように動く。ほとんどは広告。 まるで空間全体が広告商品によって揺り動かされているようだ。 落ち着かないを通り越して、暴力的とでも言いたくなる。 公共空間

消えゆく町の個性
好きな町のひとつに吉祥寺がある。 中央線文化と井の頭線文化が融合していて、 金持ちから貧乏学生まで 誰でも居場所を見つけられるところだ。 個人商店街が町の中心になっていて、 百貨店や大型商業施設は付録的な存在。 エネルギー感が町全体に漂う。 そんな吉祥寺のまち歩きは駅から始まる。 そこには「吉祥寺ロンロン」という駅ビルがある。 もちろん有名店もあるのだが、多くは地元の服屋やアクセサリー屋、飲食店があって、 地域性が濃い。 1階にはロンロン市場という八百屋と魚屋もある。 いつも多くの人で賑わい、活気にあふれている。 ホー・チミンのベンタイン市場やバンコクのクロンサン市場を歩いているようで楽しい。 「ファッションストリート」とか「エキサイト館」とか、 今ではありえないような「ださいネーミング」もいい。 駅ビルなのに、まるで表の商店街と感覚的につながっているようだ。 その吉祥寺ロンロンが消えてしまった。 あとにできたのはatre。(2010年4月開店) 恵比寿、品川、上野とかにある、あのatreである。 JRグループではルミネと対をなす一大勢力。 当然

駅のバリアフリー音響
駅のホームで流れている鳥の鳴き声。 これ、気にしたことがあるだろうか。 10年ちょっと前から少しずつ増えてきて、今ではほとんどの駅で採用されている。 いろいろ聴いて回ったら、鉄道事業社によって鳴き声が違うことがわかった。 でも「鳥の鳴き声」っていうのは皆同じ。 ホーム上の階段入り口上部にスピーカが取り付けられていて、絶え間なく流れ続ける。 ピーピーピーピーうるさくてしかたがない。 今ではずいぶん認知されてきたようだが、これは視覚障害者へのバリアフリー対策の一環で、 「ここに階段がありますよ」と教えてくれるもの。 それを鳥の鳴き声でサイン化しているのだ。 なぜだろうと思って調べたら、国土交通省の指針に「鳥の鳴き声を模した音響案内」 というのがあって、みんなこぞって鳥づくしになってしまった。 国の指導なので、急激に普及したんだろう。 こちらは、一般的なJRの駅で流れているもの。 こちらはピンポーンというサイン音と併用しているタイプ。 なるほど、理由はわかったが、でもうるさい。 対象者がいつ通ってもいいように、 絶え間なく鳴き続ける。 目立つように鳴き

優先席を考える
電車やバスの優先席(プライオリティシート)はどれだけ役立っているのだろうか。 かつて横浜市営地下鉄は「全席優先席」だった。 当時、なるほどそういう考え方もあるよなあと思い、応援していた。 しかし2012年、全席優先席自体は残し「最優先席」を設けると発表した。 そして今は「ゆずりあいシート」になった。 ちょっとずつ後退している。 素直に「優先席」にしないところが意地ってやつか。 この経緯には、横浜市民の意識調査が影響している。 「本当に席が必要とする人が、席を譲ってもらえていない」という実態がわかった。 さらに「全席優先席」の継続に対し、反対が賛成を上回ってしまった。 心理的に人は何か線引きされていないと行動しにくい性質がある。 ある程度の決まりとか基準みたいなものが重要で、 それが背中を押してくれないと行動にうつせない。 譲る側にも譲られる側にも「気を使わず、安心できる」仕組みが必須。 残念ながら、日本人の気質を考えれば、優先席は必要なのだ。 また、近年ではスマホの普及も要因のひとつ。 皆、画面に集中することが増え、周りが全く見えていない。 目の

鉄道高架化の弊害
昔は全ての電車(列車)が地上を走っていた。 田舎にいた子供の頃、線路土手に生えている土筆を取りにいき、 蒸気機関車が近づくとあわてて逃げたものだ。 トイレ付きの特急が通過するときは汚物に気をつけた。 昔は線路に垂れ流しだったのだ。 幹線道路の渋滞を解消することが目的で、都心の鉄道はどんどん高架化されていった。 ・踏切事故の解消 ・幹線道路の交通渋滞解消 ・分断されていた街の解消 ・スピードアップと輸送力増強 だいたいこんな理由で70年代後半から実施されてきた。 なかには小田急のように複々線を伴った改良も多い。 余談だが、小田急の計画はもう30年以上前から工事に着手、 ようやく2018年に完成予定だが、 当時の新入社員が定年退職してもまだ終わっていない。 これは悲しい。 で、ここで気になるのは「分断されていた街の解消」である。 踏切があって街が分かれていたというが、本当だろうか。 電車が地上を走っていることよって、街がつながっていたんではないだろうか。 確かに線路で街は分断されている。でも向こう側の街はしっかり見渡せたではないか。 地べたを走る電車

おせっかいな店内放送(2)
店内放送、第2弾。 第1弾でも書いたように、開店や閉店のお知らせ以外にも、 「ランチタイムのお知らせ」「駐車場の案内」「ペット持ち込み禁止案内」 「禁煙案内」などなど、一日中定時放送は続く。 タイムスケジュールを見ると、だいたい10分に1回は何かが流れるようになっている。 百貨店では、ここに「生放送」の案内が挿入される。 店内に流れるBGMが3曲続けて聞けない計算になる。 都度、音楽はブチ切れ、イライラする。 「ごゆっくり、素敵な一日をお過ごし下さい」とかなんとか言っておいて それをさせてくれない。 だいたい放送の内容を見ると、おせっかいなものか、的を得ていないものが多い。 例えば、ランチタイムのお知らせ。 「ただいま正午。○○で素敵なランチタイムはいかがですか? ぜひ、○○階レストランフロアにお越しくださいませ」 いやいや、飯ぐらい言われなくても食べますから。ほっといてください。 こちらにもスケジュールがあるんで、いま来いって言われても困るんですけど。 だいたい、行ったらどこも長蛇の列じゃねーか。 いまは大変混み合っております、って案内してくれ